妊娠したら葉酸ってほんとに必要?【産婦人科医がわかりやすく解説】

妊娠・出産

「妊娠したいなら、葉酸をとりなさいって言われたけど……本当に必要なの?」
妊活中や妊娠初期の女性なら、一度は耳にする「葉酸」という言葉。けれど、なぜ必要なのか、どのくらい摂ればいいのか、具体的にはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、産婦人科医の視点から、葉酸の必要性や摂り方について、ガイドラインに基づいてわかりやすく解説します。

葉酸ってどんな栄養素?

葉酸はビタミンB群の一種で、水溶性ビタミンに分類されます。細胞が分裂したり、DNAを合成したりするときに必要な栄養素で、特に「新しい命」が育っていく妊娠初期にはとても大切な役割を果たします。

どうして妊娠前から葉酸が必要なの?

胎児の脳や脊髄などの「神経管」は、妊娠のごく初期(4週ごろ)に急速に形成されます。けれど、この時期はまだ妊娠に気づいていない人も多い時期です。

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、葉酸を妊娠の少なくとも1か月以上前から摂取することで、神経管閉鎖障害(無脳症や二分脊椎など)の発症リスクを下げられると示されています。

そのため、妊活中の方は「妊娠が分かってから」ではなく、「妊娠を望む段階から」葉酸の摂取を始めることがとても大切です。

どのくらい摂ればいいの?食事だけじゃだめ?

厚生労働省は、妊娠を考えている女性や妊娠初期の女性に対して、1日400μg(マイクログラム)のモノグルタミン酸型葉酸をサプリメントで摂取することを推奨しています。

もちろん、食事からも葉酸は摂れます。緑の葉物野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど)やレバー、納豆などに豊富に含まれています。ただし、食事だけでは必要量を安定して摂るのが難しいため、サプリメントの併用が望ましいとされています。

ちなみに、サプリに含まれる葉酸は体内に吸収されやすい「合成型」なので、効率よく摂れるというメリットもあります。

葉酸サプリって副作用はないの?いつまで必要?

葉酸自体に重い副作用はほとんどありませんが、1日1,000μg(=1mg)を超える摂取は避けた方が良いとされています。市販の葉酸サプリは通常400μg前後なので、用法を守れば問題ありません。

摂取のタイミングは、妊娠の1ヶ月以上前から始めて、妊娠12週ごろ(=神経管の形成が完了する時期)までが目安です。

とはいえ、妊活中に気づかず摂れていなかったという方も少なくありません。
その場合でも、妊娠が発覚した時点からできるだけ早く摂り始めれば、十分に意味があります。

メッセージ

葉酸は「とらなきゃ不安」ではなく、「正しくとることで安心できる」栄養素です。
もし迷ったら、外来や妊婦健診で医師に相談してみてください。あなたと赤ちゃんにとって、ちょうどよい葉酸のとり方を一緒に考えてくれるはずです。

ちなみに…

外来でよくご質問いただくのが、
「葉酸って、どのサプリを選べばいいんですか?」という内容です。

もちろんどれが絶対というわけではありませんが、
特にこだわりがなければ「エレビット」など、産婦人科でもよく紹介される市販の葉酸サプリでも問題ありません。

大切なのは「継続して摂ること」なので、
ご自身が続けやすい形・価格・飲みやすさで選んでいただいてOKです。

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